襞
襞 岡田一実 驚きは過去へ流れて此処涼し 芝刈つて白しら暮れて泥くさく 人生のこのひとときの蚊の痒み 夕端居して合歓の葉のねむるさま 岩肌の日差は昏し岩煙草 ふと浮き上がり滝風のはこぶみづ 泳ぎつつ美味しいもののイメージを 金星や否よ涼しき航行灯 そのなかの魚かげ見えて川晩夏 承認の燦と嬉しや花常山木 日矢の降る旅にしあれば葛の花 ひんがしを影なす襞や盆の山