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クリスマス

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クリスマス    岡田一実   曇天に鳥影失せて十二月  雲割れて光陰はしる木の葉髪 凄いのは秋より冬の紅葉山  胼のゆび難き部首もつ漢字読み  積む紙の寒き廊下や昼暗く  真つ青に昼の傾く枯木かな  赤き服著てや程なくクリスマス  ウヰツトに富む悪口や藪柑子  白昼や八ツ手の花の影つぶさ  天明や波が荒打つ牡蠣の殻  佳き日取りすんなり決まり忘年会  寒き影曳く塵界のtwitter  凍天や逆ほとばしる鐘のこゑ  凍天に思(も)へよきのふの天の紺  海中に及ぶ階(きざはし)冬日向  嚔して月の明きを老いやまず  青い靴黄色い紐や子等の冬  手袋にありてしばらく悴む手  鮟鱇の切身ずるりと端に寄る  ものの葉のふちに組み立つ霜の花  サンタ帽被るなりはひクリスマス  華美な皿そのうへに菓子クリスマス  赤色と脳(なづき)に覚えサンタクロース  望まれて死にしイエスやクリスマス  十二月二十六日ゆるゆると 

菓子

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  菓子    岡田一実   磯菊の塔が翳して昼の苑 芭蕉忌や淡き色ある夢の菓子 今朝の冬乾いて白き風呂の桶 重著のわたくしそれと祖母の祖母 冬や列車は前向く頭並(な)べ運び 茶の花にかかる気息や波郷の忌 鴨うかぶ横に鷺立ち長い脚 細ぼそと透く小春日や杉林 新幹線小春の窓のぱつと闇 死んでゐて偶さか生きて鉢叩 五 百(いほ)に枝を伸べし神木冬の雨 冬すでにまぼろし深きマドレーヌ