菓子


 
菓子    岡田一実  
磯菊の塔が翳して昼の苑
芭蕉忌や淡き色ある夢の菓子
今朝の冬乾いて白き風呂の桶
重著のわたくしそれと祖母の祖母
冬や列車は前向く頭並(な)べ運び
茶の花にかかる気息や波郷の忌
鴨うかぶ横に鷺立ち長い脚
細ぼそと透く小春日や杉林
新幹線小春の窓のぱつと闇
死んでゐて偶さか生きて鉢叩
五 百(いほ)に枝を伸べし神木冬の雨
冬すでにまぼろし深きマドレーヌ

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