夏至





夏至    岡田一実  
瀬の香(かざ)の沈める螢袋かな 
螢とぶ河鹿のこゑのある宙を 
脚伸ばし土より遠き座頭虫 
菖蒲田のとある高さを花の密 
古代蓮雨気は深山を撫で渡り 
海芋より出てきし蜘蛛の淺みどり 
起き直る河原の風の姫女菀 
夕焼や燭を豪華に救急車 
あぢさゐの木に裡の闇そとの花 
萍のあひだに水漬く蠅の足 
草刈機刃の回転の緩み止む 
雨白く夏至の連巒降り隠す 

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