夢を出て





夢を出て    岡田一実  
読む文字のまはりの文字や読書の秋 
伶人草大きい蜂がずんと乗り 
小鳥来てしばらくはゐて霧のなか 
掃く音の姿は見えず紫蘇の花 
道にあり野分で飛んできし何か 
まへへ出す盗人萩を付けし脚 
糸切れて巣を早のぼる秋の蜘蛛 
爽やかに夢を出て此の榠櫨の実 
梨食うて流れし文字をうち忘れ 
撮られつつ話すや稲架を後景に 
きちきちととんぼう宙をすれちがふ 
寒露うすく日当たればある物の影 

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