2023.1.7.袋まわしくるくる
2023.1.7袋まわしくるくる 岡田一実
「身につけるもの」
はつはつとみづを纏へる初湯かな
春著の君の懐に耳押さへつけ
脱ぎそして脱ぎ散らかして姫始
ぼわぼわのパジヤマの上や著る毛布
「伸びるもの」
日が伸びてかたちが影の寒造
皮膚つまみ千枚漬の味をいふ
餅搗や高き低きに顔並び
はつはつとみづを纏へる初湯かな
春著の君の懐に耳押さへつけ
脱ぎそして脱ぎ散らかして姫始
ぼわぼわのパジヤマの上や著る毛布
「伸びるもの」
日が伸びてかたちが影の寒造
皮膚つまみ千枚漬の味をいふ
餅搗や高き低きに顔並び
「魚または海のもの」
蛸を食ふ迦陵頻伽や寒土用
蝦を梳き一度の夢の雪達磨
田作や永遠に寝転ぶ太郎冠者
うをの尾のかしこむ東松の内
徐に来るくれなゐが寒鯉に
蛸を食ふ迦陵頻伽や寒土用
蝦を梳き一度の夢の雪達磨
田作や永遠に寝転ぶ太郎冠者
うをの尾のかしこむ東松の内
徐に来るくれなゐが寒鯉に
「大人」
縮みつつ老をたのしむ蔵開
熱燗や景色だんだん色の失せ
干してすぐ喪服に用や寒の雨
あたま古び太陽古び飾米
楪のあをあをしきも花眼かな
縮みつつ老をたのしむ蔵開
熱燗や景色だんだん色の失せ
干してすぐ喪服に用や寒の雨
あたま古び太陽古び飾米
楪のあをあをしきも花眼かな
「白いもの」
白浪の潰れしところ寶舟
大根やたばしる意味を昔にし
白妙の富士を左に初音賣
ぽつぺんのひとつはけふの白い闇
「憧れ」
知のなかに独楽をまはして夕べ澄む
俤に遠く師のゐる歌留多かな
飛べるもの日の面をよぎり手鞠歌
白浪の潰れしところ寶舟
大根やたばしる意味を昔にし
白妙の富士を左に初音賣
ぽつぺんのひとつはけふの白い闇
「憧れ」
知のなかに独楽をまはして夕べ澄む
俤に遠く師のゐる歌留多かな
飛べるもの日の面をよぎり手鞠歌