ビー玉

ビー玉   岡田一実 

夜闇のなかで 幻の声 を聴く

眠りに落ちぬ脳は

  チカチカ鳴る

  タオルケット

からはみ出た思念

異地 の沢に流れ出すべく

徒党を組んで 捩れる


光の白で文字を打ち、消し、打つ

混沌 を言葉の鋳型に入れれば

削られた氷があまた散らばり

  目を刺す

薬に浸かった〈私〉の悲しみは

〈私〉と同一

引き出されるティッシュ

  のような

  たましい

  のような

果てある箱の

騒ぎ合い  ほら、こんなに

落下

  落下

    落下

      落下

        落花

否、花などなかったではないか

いつかの坂道に

ビー玉が  落ちていた

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