あらばあれ

あらばあれ    岡田一実 

冷やひやと雨紋のしたを金の鯉 

秋雲のいや天日を巻き動く 

盃に映して青き後の月 

まづはその辺(へ)のみくわつと黄銀杏の葉 

根は刈られ蔓は枯れつつ零余子生る 

横雲の濃に気を這つて破はちす 

秋天やうなうな懈(なま)き車酔ひ 

四阿の椅子低ければ百舌猛る 

ぐつしよりと踏みつけ洋種山牛蒡 

二羽三羽短く飛んで稲雀 

澄みながら山気の昏き菌かな 

あらばあれ魂(たま)のたばしる紅葉谷 


 

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